【書評】20歳の自分に受けさせたい文章講義(古賀史健著)を読んで
【書籍名】20歳の自分に受けさせたい文章講義
【著者】古賀史健
【出版社】星海社
【初版出版日】2012年1月25日
【ページ数】約280ページ
【目次】
- はじめに 「話せるのに書けない!」のはなぜか?
- ガイダンス その気持を「翻訳」しよう
- 第1講 文章は「リズム」で決まる
- 第2講 構成は「眼」で考える
- 第3講 読者の「椅子」に座る
- 第4講 原稿に「ハサミ」を入れる
- まとめ
はじめに 「話せるのに書けない!」のはなぜか?
本書の目標は「話せるのに書けない!」を解消すること。
「書く技術」を身につけることは「考える技術」を身につけることにつながる。
「書く技術」が身につけば、ものの見方が変わる。物事の考え方が変わる。そしてきっと、世界を見る目も変わってくる。
ガイダンス その気持を「翻訳」しよう
頭の中の「ぐるぐる」を「書く」のではなく「翻訳」する。
うまく書けない人は翻訳の意識が足りない。
「翻訳」の第1歩は聞いた話を誰かに話す。
話すことによって得られるもの↓↓
①再構築‥言葉にするプロセスで話の内容を再構築する
②再発見‥語り手の真意を「こういうことだったのか!」と再発見する
③再認識‥自分がどこに反応し、なにを面白いと思ったのか再認識する
第1講 文章は「リズム」で決まる
リズムの悪い文章とは?
リズムの悪い文章とは「読みにくい文章」。
読みにくい文章とは、文と文の「つなげ方」や「展開の仕方」がおかしいとき、その主張は支離滅裂になり、リズムよく読めなくなる。
読みにくい文章の見分け方
文と文の間に「接続詞」を入れてみる。
読みにくい文章(支離滅裂な文章)であれば適切な接続詞が見つからない。
(接続詞を多様すると、くどい文章となるので頭の中で入れてみるだけでOK)
「視覚的リズム」
①句読点の打ち方
→著者は1行に必ず1つは入れるようにしている
②改行のタイミング
→改行が少ないと圧迫感があるので、最大5行くらいを目処に改行したほうがよい
③漢字とひらがなのバランス
→漢字ばかりでも、ひらがなばかりでも読みにくい。バランス良く。
「聴覚的リズム」
音読して以下の2点を確認する。
①読点「、」の位置
②言葉の重複
「断定」することによりリズムを持たせる。
ただし、その箇所をきちんと論理固めを行う必要有り。
第2講 構成は「眼」で考える
文章の構成において
よくある「起承転結」はストーリー仕立ての流れにおいてこそ効果を発揮する。
ビジネス文書等でよく使われるのは、「序論・本論・結論」
(※ちなみに文量としては2:6:2くらいが無難)
おすすめは映像表現を参考に以下のように組み立てる方法。
①導入‥俯瞰(客観)のカメラ
②本編‥主観のカメラ
③結末‥俯瞰(客観)のカメラ
ただし、「起承転結」や「序論・本論・結論」は1万字以上などの長文では必要になってくるが、日記やブログなどでは必ずしも必要とは限らない。
そのような、比較的短い文章でより重要になってくるのは「導入部分」
導入部分の基本3パターン
①インパクト優先型
②寸止め型
③Q&A型
論理的な文章に不可欠な3要素
・主張
・理由
・事実
順番は自由。ただし、どれか1つでも欠けると途端に詰めが甘い文章になってしまう。
「眼」で考える
・だいたいの文字量を眼で数える習慣をつくる
・文章の構成を図解して明確にする
第3講 読者の「椅子」に座る
読者の立場に立って考えるでは不十分。読者の椅子に座る。
①10年前の自分
→あのときの自分に対して書いていく
②特定の“あの人”
→多数派に対して書く当たり障りのない文章にならないように注意しよう
“説得”せずに“納得”させる
①説得‥押しのアプローチ(読者を押しきる)
②納得‥引きのアプローチ(読者に歩み寄ってもらう)
小さなウソは許されない
(例)ウルトラマンに街が襲われる‥大きなウソ(問題無し)
(例)コンビニの公衆電話‥小さなウソ(いまどき公衆電話なんて‥となる)
目からウロコを何枚落とすか?
新しい情報が皆無な文章は問題外だが、目からウロコが落ち続ける文章も受け入れて貰えない。全体の3割くらいがベター。
第4講 原稿に「ハサミ」を入れる
・大事なのは、「何を書くか」ではなく「何を書かないか」。
・推敲する上で禁句なのが“もったいない”。
・長い文章があれば短い文章に切り分けた方が良い理由。
①冗長さを避けてリズムをよくする
②意味を通りやすくする
③読者の不安をやわらげる
・接続助詞の「が」を多用しているようなら他の言葉に置き換えられないか考えてみよう。
・この文章を図に書き起こすことができるか。読んで映像がイメージ出来るのかチェック。
まとめ
本書の中で1番印象に残ったのは『文と文の間に「接続詞」を入れてみる』というところである。
これは普段の会話にも応用出来るのではないかと思った。
普通に会話しているつもりでも、「なんとなく噛み合わないな」とモヤモヤを感じることがあったが、多分そういう会話の場合は接続詞を入れようとしても上手く入れることが出来ないのだろう。
逆に、「なんかこの人とはスムーズに会話が進むなぁ」という人との会話には、接続詞を入れようとすると上手く入るのだろうなと思った。
本書の全体を通して学ぶべきエッセンスが大量にあったと感じたため、短期間の間に2回読み通した本である。時間を置いてもう1度読んでみたい、内容を自分の血肉と化したいと思えた本である。