【書評】勉強大全 ひとりひとりにフィットする1からの勉強法(伊沢拓司著)を読んで
【書籍名】勉強大全 ひとりひとりにフィットする1からの勉強法
【著者】伊沢拓司
【出版社】KADOKAWA
【初版出版日】2019年2月7日
【ページ数】約370ページ
著書紹介
クイズ番組でもおなじみの東大クイズ王、伊沢拓司の勉強法に関する著書。
対象読者は、一応、資格試験を控えていたりする社会人にも参考にはなるが、大学受験生(特に東大受験生)にとって参考になる部分が多いかなという印象。というのも著者の大学受験時のエピソードや勉強法、考え方等がふんだんに盛り込まれているため。
本書の中で気にいったところ抜粋
勉強の原理
・勉強時間で勉強量を測らない
・模試で大事なのは点数や判定ではない
・暗記で大切なのは知識のインプットよりアウトプットである
勉強は質と量どちらが大事?
質と量は対立する概念ではなく併存する概念だ。
なんでも二項対立で考える危険性を指摘。
スケジュールを立てるときの注意
22時まで自習室で勉強と設定したら、22時以降は絶対に勉強しない。
→延長線を許してしまうと、心に緩みが生じてしまうからと著者は言っています。プラスでメリハリを付ける意味合いもあるのでしょう。
入試までの考え方
本番までは長いけれど、1日1点ずつ上げていけば必ず受かる。それを毎日確認しろ。
集中こそが勉強のキモ
著者自身の方法としては、自習室での勉強で集中力が切れてきたタイミングでトイレに行ったり散歩に行ったりしてリフレッシュしていた。
2つのランダム
①出題される領域のランダム
②未完成のランダム
→①はどうしようも無いが②は全ての領域において最低限、基礎を確立するによって防ぐことが出来るので、基礎を全て固めることが大事。
過去問は宝
過去問は、こんな問題を解ける人がうちの学校に欲しいという、その学校からのメッセージ。
模試と過去問の違い。模試は何回も開催されており入手出来る問題もたくさんあるが、受験校の過去問は入手出来る量が非常に限られているのでものすごく貴重。無駄に解き散らかさない。
マクロ記憶とミクロ記憶
マクロ記憶:数学の論述問題など、1字1句覚える必要はないが全体の流れを記憶しておく必要があるもの
ミクロ記憶:英単語など、完璧に覚えていてこそ価値があるもの
まずは暗記する対象が上記のどちらの性質のものであるのか分類することが重要。
前者は少しずつ頭に入れていき、反復して覚えていく。さらに著者がやっていたのは必要なピースが何個あるのかということをまず覚えること。そうすることで漏れなく論述出来る。
後者で大事なことは完璧を目指すこと。惜しいというのが何の役にも立たない分野。
著者は英単語帳を20ページずつに区切り、完璧に覚えたら次の20ページへ進んで行くという覚え方をしていた。
大学という場所について
「自由」と呼ぶことも出来るが「余白」と呼びたい。
→どう埋めるかは自由だけれど埋めなければ、まっ白なスペースのままだから
私の大学生活は、ただただダラけた生活をしていただけだったので本当に真っ白なままの4年間でした。大学生時代にこの言葉に出会いたかった!
経済学で見る学歴(シグナリング理論)
企業が高学歴の人を採用する理由
→能力が低い人は学歴を得るためのコストが高く、高学歴をゲット=高級取りになってもオトクではない。努力に時間がかかるので、低賃金でもその時間働いたほうが儲かると考える。一方、能力が高い人はラクに高学歴になれるので、高学歴になったほうが儲かる。だから、少し努力して高学歴になるという選択をする。
まとめ
内容としては、著者が東京大学入試までの間に、感じたり実践してきたことがベースになっています。
けっこうページ数が多いので読むのが大変でしたが、学びが多くあったと感じます。
個人的には各章の終わりにコラムが記載されているうのが、けっこう好きでした。